公認会計士奥村佳史事務所
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法人税の税理士事務所[日本全国対応]
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制限が多い、役員への報酬

会社で働いているという点では、役員も従業員も同じようにみえます。
ところが、税務上は、両者が厳格に区分されます。なぜなら、役員は会社を経営する人たちですので、個人的な利益と会社の利益とが密接に結びつくケースが多いためです。単純に労働時間を提供する従業員とは、報酬のあり方が異なると考えられているのです。
例えば、中小企業であれば、オーナー社長にとって、個人財産も会社のお金も、どちらも自分のものと考える傾向があります。会社の利益が予想以上に膨らんだ場合には、個人のサイフに利益を移しかえて、会社の利益を圧縮し、法人税の負担を逃れようと考えるものです。
しかし、会社の利益がいくら好調だったとしても、従業員に全額ボーナスで還元するという会社は、ほとんどありません。
その意味で、役員への報酬は、法人税の課税逃れの手段となる可能性を有しているのです。
そこで、法人税法では、このような課税逃れを防ぐために、役員への報酬に一定の歯止めを掛けています。

役員給与の損金算入は条件付き

役員の在任期間中にわたって支給される毎月の報酬やボーナスは、役員給与として税務上の損金算入が厳しく制限されています。
原則として、次の3つのいずれかに該当する場合にのみ損金算入が認められます。
(1)定期同額給与…1月以下の一定期間ごとに毎回同額が支給される給与
(2)事前届出賞与…税務署に事前に届出をし、所定の時期にあらかじめ定めた支給する賞与等
(3)利益連動給与…業務執行役員に対する利益連動給与で、有価証券報告書に記載されるなど一定の要件を満たすもの。

税務上の役員とは

役員という言葉は、一般的に日常会話でも用いられる用語ですが、法人税法では、役員の範囲を厳格に定義しています。
法人税法上の役員とは、法人の取締役、執行役、監査役、会計参与、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者とされています。
つまり、商法などの法律で役員とされている人に加えて、形式上は従業員等であっても、法人の経営に従事している人は、法人税法上は役員として扱われるのです。具体的には、相談役や顧問といった名称で会社の経営に実質的に従事している人が挙げられます。
 
ほかに、同族会社については、使用人について、株式の所有について一定の条件を満たす人は、法人税法上の役員とされることがあります。同族会社とは、同族株主によって、50%超の株式等を所有されている会社をいいます。
具体的に、ある会社が同族会社に該当するか否かを判定する場合には、まず、株主を親族、事実上婚姻関係と同様の事情にある者、使用人など一体関係にある者同士を株主グループにまとめます。 次に、株主グループを、持株割合が最も大きいものから順に並べます。 上位3グループが所有する株式が、会社の発行済株式総数の50%を超えているかどうかを判定します。50%を超えていれば、その会社は同族会社になります。
このような判定方法で、同族会社と判定された会社の使用人(従業員)のうち、次のイからハまでに掲げる要件のすべてを満たしている人が、その会社の経営に従事している場合には、税務上は役員とみなされます。
 
同族会社の使用人が役員とみなされる要件 イ 株主グループを、持株割合が最も大きいものから順番に並べて、判定の対象となる使用人が次に掲げる株主グループのいずれかに属していること。
(1)第1順位の株主グループの持株割合が50%を超える場合における当該株主グループ
(2)第1順位及び第2順位の株主グループの持株割合を合計した場合にその持株割合がはじめて50%を超えるときにおけるこれらの株主グループ
(3)第1順位から第3順位までの株主グループの持株割合を合計した場合にその持株割合がはじめて50%を超えるときにおけるこれらの株主グループ
ロ 当該使用人の属する株主グループの持株割合が10%を超えていること。
ハ 当該使用人(その配偶者及びこれらの者の持株割合が50%を超える場合における他の会社を含む。)の持株割合が5%を超えていること。

中小企業のオーナー社長の親戚が、会社に勤めている場合などは、税務上のみなし役員に該当するケースがあるため注意が必要です。 なかでも、オーナー社長の奥さんは、会社の株をまったく持っていない場合でも、持株割合の要件を満たしてしまうことになります。会社の経営に従事しているか否かの判定は、事実認定で税務当局と意見の食い違いが出ることが少なくありません。オーナー社長の奥さんは、役員とみなされる可能性が高いと用心しておきましょう。

平取締役に対する賞与は損金算入される部分もあります

役員に対する賞与は原則として損金不算入ですが、例外的に損金算入が認められるケースがあります。
それは、使用人としての職務を有する役員に対し、使用人としての職務に対する賞与を、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合に、損金算入が認められるというものです。これを、使用人兼務役員に対する賞与といいます。
取締役になっていても、経営の仕事に特化することなく、営業部長や経理部長としての仕事を併せて行っている人が会社にはいるものです。このような人について、営業部長や経理部長の仕事に対する賞与は、他の使用人に対する賞与と同様に損金算入を認めようというものです。
ただし、使用人兼務役員に該当する役員は限定されています。 まず、社長、専務取締役、常務取締役や理事長などは、使用人兼務役員になれません。そして、役員が、部長や課長などの使用人としての職制上の地位を有していることが必要です。その上で、常時使用人としての職務に従事していなければなりません。さらに、同族会社の役員については、一定の持株基準に該当する場合、使用人兼務役員になれません。
このような条件を満たした使用人兼務役員に対する賞与の全額が損金算入できるわけではありません。他の使用人に対する賞与の支給の状況等に照らして、使用人としての職務に対する賞与として相当であると認められる金額に限って損金算入できることとされています。使用人としての職務に対する賞与として相当であると認められる金額とは、役員ではない人が受け取っている賞与の最高額と考えておけばよいでしょう。

過大な役員報酬は損金算入できません

役員報酬について、不相当に高額な部分の金額は損金算入が認められません。
では、いくら以上の役員報酬が「不相当に高額」とされるのでしょうか?
これについては、判断基準が2つあります。
形式基準と実質基準の2つです。
 
◎実質基準
・役員の職務の内容
・会社の収益
・使用人に対する給料の支給状況
・事業規模が類似する同業他社の役員報酬の支給状況
 ↓
上記の条件に照らし、役員報酬として相当であると認められる金額以内となっていること
 
◎形式基準
株主総会等の決議(又は定款の規定)により定めている報酬限度額以内となっていること
 
2つの基準のうち、実質基準は税法上の定めが抽象的で判断に迷います。
常勤の役員について、使用人と大差ない役員報酬を支給している会社であれば、特段の問題は生じません。ところが、中小企業の中には、オーナー社長の家族が名目上の役員になっているケースがあります。儲かっている会社は、税負担の軽減を狙って、所得を分散させるのです。このような場合には、職務の内容を勘案すると相当低額の役員報酬しか損金算入は認められないでしょう。
国税庁は、毎年「税務統計からみた民間給与の実態」を発表しています。これには、会社規模別・業種別の役員報酬の平均額等が掲載されています。役員報酬決定の実務においては、これを参考にするとよいでしょう。
もう一方の形式基準ですが、これは役員報酬を株主総会などで決議しておくことが求められます。従業員の賃金と異なり、取締役は会社と委任関係にあるため、無報酬が原則です。非常によく頑張ってくれる取締役に、ご褒美として支給されるのが役員報酬です。役員報酬については、定款の規定か株主総会の決議が無ければ、これを支給することはできません。
もし、役員報酬の額について、定款の規定や株主総会の決議が無い場合、役員報酬を会社が支払っても、これは損金算入されません。
通常の会社では、役員報酬の額を定款で規定している会社はあまりないようです。ほとんどの会社では、株主総会で役員報酬の額を決議することになります。通常は、役員報酬の上限額を決議しますので、この上限額に少し余裕を持たせておきます。翌年以降も、株主総会で決議した上限額に収まるようでしたら、改めて決議しなおす必要はありません。注意したいのは、役員の増員などで役員報酬の総額が、以前決議した上限額を超えそうな場合には、忘れることなく役員報酬の上限額を引き上げる決議を行う点です。うっかり忘れると、役員報酬の損金算入されないことになってしまいます。

過大な役員退職金も損金算入できません

役員退職金についても、不相当に高額な部分の金額は損金算入が認められません。
では、役員退職金として、いくらまでが適正かという点が気になります。
しかし、税法はこの点について具体的な規定を設けていません。役員が業務に従事した期間、その退職の事情、同業他社で事業規模が類似する会社の役員退職金の支給状況等から判断するという抽象的な規定があるだけです。
ほとんどの会社では、役員退職金規定を定めています。
役員退職金規定においては、次の算式で役員報酬額を決定することとされているケースが多いようです。
 
役員退職金 = 退職時の報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率
 
上記算式中、退職時の報酬月額と勤続年数は明らかです。問題は、功績倍率をいくらにすればよいのかという点です。
功績倍率の設定についても、同規模の同業他社と比較して平均的な倍率を設定することが望ましいとされていますが、会社の利益を圧縮して、税負担の軽減を狙う会社の場合、この功績倍率を高く設定しようとするわけです。
多くの会社では、代表取締役の場合で3倍程度、平取締役の場合で2倍程度までの水準に設定されているようです。
 
役員退職金については、もうひとつ忘れてはならない注意点があります。
それは、支給した役員退職金を損金経理しなくてはならないという点です。
そのため、役員退職慰労引当金を計上している会社にあっては、役員退職慰労引当金を帳簿上いったん取り崩して、支給する役員退職金相当額について、損益計算書に、役員退職金といった費用を計上しておくことが必要です。
役員退職慰労引当金を取り崩すことなく、残高をそのまま支払いにあてる経理処理は、税務上認められません。

うっかり役員賞与を支給したとされるケースも

役員に対して支給する賞与は、会社の所得計算上、損金の額に算入されないことは、先にも解説しましたが、とりわけ注意したいのは、役員賞与として支給した認識が会社にない場合でも、うっかり役員賞与に該当すると税務上判断されることがある点です。
例えば、役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合などは、会社が役員に対して、現金を支給していなくても、経済的利益を供与したものとして取り扱われます。この経済的利益が、定期・定額で供与されているのであれば、役員報酬として損金算入されることとなりますが、臨時的に供与されたものですと、役員賞与となり損金算入されません。
現金で役員賞与を支給していないからといって、安心はできません。

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